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資料 2007年12月

2007年12月17日

「奈良県の医師・看護師不足を改善し、県民に安心・安全の医療を提供することを求める要請署名」提出(第1次分)における意見書

奈良県知事 荒井正吾 殿

2007年12月17日
医師・看護師の増員を求める奈良県実行委員会
実行委員長 上村 啓子

 日ごろより県民のくらし、福祉を守り、充実させるためご努力いただいておりますことに感謝いたします。

 私ども「医師・看護師の増員を求める奈良県実行委員会」(以下実行委員会と略す)では、本年10月より、7月の参議院での医師・看護師の増員を求める請願採択を受けての国に対する新たな「請願署名」と、県知事にむけた「奈良県の医師・看護師不足を改善し、県民に安心・安全の医療を提供することを求める要請署名」(以下署名と略す)に取り組んできました。ここに第1次提出分として提出させていただきました。

 私たちは昨年10月から実行委員会をつくり、医師・看護師を増やすための運動を取り組んできました。国にむけた意見書は県議会はじめ35市町村で採択いただきました。また、「看護師の労働・健康実態調査」(資料)に取り組み、県看護協会や各医療機関のご協力もいただき916名ものアンケートを集約することができました(県内の病院で就労する看護師の1割以上)。また、昨年、今年と県内の病院訪問、看護学校を訪問し取り組みへの協力のお願いと、不足の状況や各医療機関の努力についても聞かせていただきました。それをふまえての署名の項目であることをご理解いただき、その実現にご努力いただきますようよろしくお願い致します。

 平成18年の看護師の就業実態調査がだされ、確かに人口比での全国比較では奈良県は前回の41位から34位へと順位は上がっています。しかし、それをもって県内の看護師不足(県民が必要とする看護師数と実就業者数の差)が改善されたとみることはできません。私たちは11月に県内の病院を訪問し、看護師不足は依然深刻な状況にあると実感しました(訪問記録参照)。また、比較検討として静岡県(平成16年時で人口比40位)をとりあげ、本年12月7日には直接訪問させていただきお話も聞かせていただきました。それを通じて奈良県の看護師確保対策の問題点と、改善のためにどうすることが必要かまとめさせていただきました。

奈良県の看護師確保対策の問題点と改善に向けて

1、看護職員の需要数の算出が現場(各医療機関からの積算)のデーターをふまえた検討ではないこと(今年11月に医務課がはじめてアンケートを実施:現在の需給計画には反映されていない)、平成18年の診療報酬改定で新たに7:1看護体制が新設され、大学病院はじめ多くの医療機関が取得し、更に不足がすすんだことにより、需給計画上の需要数と現場の需要とにズレが生じている。また、奈良県の看護師不足の実態把握、その原因と対策が明確になっておらず、県全体が取り組む方向性の軸が定まっていない。→今回の医務課の調査をふまえ、各医療機関のヒヤリングを行うなど実態把握に努めること。そのうえで私たちが求める検討会(富山県や島根県で実施)を設置し実態把握、原因分析と対策を明確にし、再度需給計画の修正を行うこと。

2、需給計画の供給数(目標)がこれまでの推計からであり、過不足に対し政策努力を行い過不足を少しでも改善する姿勢が見られない。静岡県では、これまで同様の取り組み(現状維持)では深刻な不足数となるとして、現状推移5年間の3,293名に加え、政策努力による政策増員数を5年間で1,179名とし、需給計画最終年度の過不足を48名にまで減らしている。それに対し奈良県は計画において供給数の考え方で、「新卒就業者数」、「再就業者数」はこれまでの調査からの推計となっており、「退職者等による減少数」にのみ、「今後の就業環境改善等の離職防止効果を考慮して推計する」と政策努力が含まれたものとなっている。そのため、計画終了時でも895名の過不足となっている。

資料:
奈良県看護職員需給見通しP6-8
静岡県看護職員の供給増員計画 P11-12

平成18年の実績

  需要数 H18需給見通し 実就業者数 過不足数 充足率 見通し数-実就業者数
奈良県 12,638名 11,988名 11,213名 減少1,425名 88.7% 減少775名
静岡県 33,459名 32,211名 32,174名 減少1,285名 96.2% 減少37名

※奈良県の場合は助産師数を含まず(静岡県は就業助産師数は706名)

※静岡県の現状推移でのH18供給数は32,009名。実就業者数は政策努力による増員でそれを上回っている(H18政策努力増員目標202名 実績156名)

→県民に必要な医療・看護を確保するための需給計画であるという原点を再確認し、需給見通し目標の達成に努力すること。そのために政策努力目標を定め、その具体化を行うこと。具体化においては検討会の審議だけでなく、労働組合含め幅広く意見を聞くこと。

3、再就業支援については現行では看護協会のナースセンターにお任せするという状態となっている。また各医療機関でも独自に潜在看護師の再就業にむけた研修を行っている(資料)。現状では県、ナースセンター、各医療機関がバラバラに努力しているという現状となっている。

資料:
静岡県における潜在看護師の再就業支援事業について(訪問レポート)P9-10
静岡県潜在看護師再就業支援事業資料(人材養成室作成)P13-16
新聞記事 P19-23
別資料
地域ぐるみで取り組む潜在看護師の再就業支援(NursingBUSINESS2007より)
奈良県の医療機関で行われている再就業研修:土庫病院・吉田病院

→少子化、大学化(県外入学者が多いなど県内就職率は低い)で新卒就業者の確保が厳しくなっているなかでは、就業環境の改善による離職防止策と、潜在看護師の再就業が供給数の確保策の重要な柱となっている。その位置づけのもと再就業支援については県ぐるみで取り組むこと、そのため県、ナースセンター、各医療機関の連携とそれぞれの機能をより発揮できるようにすることが必要。また、再就業支援については個別支援が必要であることを認識し対応すること。要請項目にある静岡方式(資料)の導入を検討すること。

4、奈良県の看護師修学金制度は、国の三位一体の改革などを受け、対象を縮小するなど学生の実態からは使いにくいものとなっている。全国的には廃止した県もあるが不足で苦しむ多くの県が対象となる学校等を広げるなど対応している(資料)。看護学生のおかれている状況(資料)と現在の制度はズレがあり不足県にふさわしい修学資金制度となっていない。

 
資料:
使いにくい奈良県の看護師修学資金 P24
    看護学生の経済的な状況について P25

→看護師の修学資金制度は問題がないわけではないが、卒業後の県内医療機関への就業という点では下記のように効果がでている。

調査:修学金貸与者の県内医療機関就職状況(看護係)

H14.3
157名中149名が県内指定病院に就職
H15.3
157名中129名
H16.3
136名中112名
H17.3
157名中133名
H18.3
98名中 86名

 実態把握の上、検討会でどのような修学資金制度が必要か検討が求められている。少なくとも県立などへ対象を広げることや、社会人入学・学生を対象とした貸付制度などは必要と考える。

5、「いまどきの若者は」と言われるように、看護師の養成現場でも生徒の教育にたいへん苦労をしている。実習指導も含め教員数を少しでも多くしたいというのが現場の声だが、奈良県立の看護学校はいずれも専任教員数が学生40名に対し6名となっている。

資料:
看護教育の充実に関する検討会報告書(平成19年4月16日) P26

→国の規定は現行では「当分の間」6名を認めているが、厚生労働省の「看護教育の充実に関する検討会報告書」(H19,4・16)では、「2年間の経過措置をもってこの当分の間を削除することとする。」としている。他の県内の民間の看護学校が非常勤の確保等で8名以上を実現しているなかで、県立が6名のままというのは教育内容の充実という姿勢が問われる問題であり、現場の実態をふまえ早急に8名とすることが必要。